
一番最初の社員
会社を設立して、最初に入社してくれたのは「テツ」と呼んでいた青年でした。
テツは私(代表)がまだ会社員の頃、投資用物件を探していた時に出会った数多くの営業マンのうちの1人でした。やせ型で少しやんちゃな風貌、ソフトなあたりの中にも切れ味のある地頭の良さを感じていた。
私が会社を作ってしばらくした頃、久しぶりに遊びに来てくれて、当時テツが勤めていた会社が解散となったこと、その後に入社した会社もリーマンショックの影響なのか業績が悪くなり会社の存続が微妙であったこと、など色々話しをしてくれて、「じゃーうちで良ければ・・・」と声をかけて最初のスタッフとして入社してもらうことになりました。
2008年頃の話しで、私に社長という肩書があっても、私やうちの会社が彼にできることなんてほとんど何もなく、彼も私と同様に毎日を必死に生きることに精一杯で、お互いなんとか助け合ってやっていこう、みたいなノリだったと思う。そして、入社と言っても何か正式な手続きがあるわけでもなく、全て口約束だけでの始まりだった。
形式ではあるが社長という肩書があるので、多少奢ってみたり、カッコつけさせてもらったり、立ててくれたり、というのはあったものの、不動産仲介の知識や経験は私より確実にあったのでふとした縁に心強さも感じつつ動き出していった。
≪思い出≫
2008年当時、テツや仲間たちに誕生日祝いをしてもらった昔のブログを発見しました。
当時を振り返って
そして、その時の採用条件はこんな感じだったと思う。
・給料:20万
・社会保険ナシ
・営業交通費ナシ
・通勤交通費だけあり
加えて、休みはなんとなく週1日で、それ以外は必要あれば疲れた時に取ろう、みたいな運用をしていたと記憶している。
ホームページも無いので、集客をできる術は皆無。友人や新たに知り合った方からの紹介以外は、一生懸命オープンルームをやって出会えたお客様に好かれることだけを一心に、まだ何もない会社の魅力を語り、自分の思いを伝えて1人でも多くのファンを作ろうと必死な時期だった。
ちなみに、社会保険を導入したのは私を含めて社員数が5名になった時。
今思い返すと全く誇れるような話しではないけれど、はじめて健康保険証が会社に届いたとき、当時いたスタッフと健康保険証を眺めて、嬉しそうにしているスタッフの顔を今でも思い出す。
もしかしたら嬉しそうにすると私が喜ぶと思ってそうしてたのかも知れないと思うと、それまた素敵なスタッフだったな~と思う。
<社員数が5名になった時にはテツは地元の静岡に戻っていたので、本当に福利厚生がゼロの時代を一緒に戦ってくれて感謝しかない>

まだ社保がなかった15年以上前の思い出。
Sさんは当社初の事務スタッフ。
アルバイトで週2~3日で入社してくれて、日数を増やしてもらい、3ヶ月後から社員として働いてくれました。まだやることも少なく、手探りでアメブロに物件情報を掲載して欲しいと伝え、後のゼロレボになる流れを一緒に築いてくれたスタッフ。
Yくんもアルバイトで入ってくれて途中から2人目の営業マンとして盛り上げてくれました。その後ITの世界に転職し海外赴任も果たしてご活躍とのこと!
出会いと別れから学んだこと
それから多くのスタッフを採用してきましたが、未熟な会社ゆえに、さまざまな理由で退職する人がいました。「ここでは自分らしく振る舞えない」と感じて転職する人、隣の芝生が青く見えて新たな環境を求める人、独立して新たな道を歩む人、異業種に挑戦する人——。
そのたびに、心痛い思いや、悲しみを感じながらも、自問自答を繰り返し、また新たな採用活動に向き合ってきました。
「昨日より良い会社になるんだ」と言葉にしながら少しずつ改善を重ねるものの、会社の弱点や課題は社長やトップの人たちは本当はよく分かっていて、私自身も心の奥底では理解していた。ただ、会社の体力や経済的な事情を言い訳にしたり、自分なりの公平性を保とうとする変な正義があったり、そして最大の要因は抱える課題に真正面から向き合う勇気や決断力が足りなかったり——。それこそが、思うように前進できない原因なんだとうっすらとは気づいていた。
このどうにも前進できない原因を取り除かないと、と一番に強く感じるのは気持ちの良くない退職があった時。
未熟な会社ゆえの、また自分が無知ゆえの、そして勇気が足りなくて行っていたこれまでの運用に対して、誰かが傷ついて退職をした時にようやくその意味を(少し時間がかかるけど)理解し、会社の運営方針を変えるきっかけとなったことが何度もありました。
まだまだ完璧ではないけど、より良い会社になるべく皆で正しい方向に向かっていく集団になれたのは、テツのあとに続いてくれたこれまで働いてくれた全てのスタッフのおかげと思っている。
当社は18期目を走っていますが、採用活動は本当に厳しさを増しています。
そんな中で当社にとっての『良い人材』と思える方に入社していただくことは更に難しいことと感じています。
後編では当社にとっての『良い人材』についてお話ししたいと思います。
<あとがき>
2025年2月現在、当社は昔に比べると比較にならないくらいホワイトな企業に近づいていると感じています。まだグレーイッシュな部分もあるかも知れませんが、会社全体で日々「より良い会社になるために」を考えながら成長し続けています!